臨床で指導に必要な「教え方」の技術②-円滑なコミュニケーション-

臨床で指導に必要な「教え方」の技術②-円滑なコミュニケーション-

はじめに

こんにちは

camp gear tokyoです。

久しぶりに看護師としてのブログです。

看護師は経験年数がたつと後輩へ教えることがありますが

学術的に指導を学んでいる看護師は少なく

指導のコツがわからずに悩むことが多くあります。

そこで、看護師の経験が15年あり、ICLS、JPTECやJNTECのインストラクターも経験

教育委員も経験している私ができることして

知識などノンテクニカルスキルをここで共有して多くの人にみていただきたい

と思いますのでブログに書かせていただきます。

今回のブログは臨床で指導に必要な「教え方」の技術の第二回になりますので

第一回も見ていただきたいと思います。

👉臨床で指導に必要な「教え方」の技術①-看護師教育の現状-

👇私の他の看護師、ノンテクニカルスキルに関するブログ👇

👉発達障害をもつ新人看護師の指導①発達障害をもつ看護師の現状

👉発達障害をもつ新人看護師の指導②問題行動の考え方

👉発達障害をもつ新人看護師の指導③問題行動の理解と対策

👉発達障害をもつ新人看護師の指導④組織的な関わり方

👉発達障害をもつ新人看護師の指導⑤発達障害に気づく、気づいてもらう方法

私個人の意見にならないように参考図書として

政岡祐輝氏、池辺 諒氏著書の

OJTで使える!臨床での指導に必要な「教え方」のスキル13

を参考に私の経験を織り混ぜて書かせていただきます。

あくまでも参考ですので個人の経験と知識による内容となっています。

参考図書

 

指導者が押さえておくべき大事なこと

円滑なコミュニケーションをとる

円滑なコミュニケーションをとることが指導者にとってはとても必要なことです。

コミュニケーションがうまく取れているでしょうか?

また、取ろうと思っていますか?

実はうまくコミュニケーションを取ろうと思っていない指導者さんも多いと感じています。

理由としては

  • 指導される側(相手)から話してくるのが当たり前だ
  • なぜ指導者が気を使わなくてはいけないのかわからない
  • 興味がない
  • 自分のことで精一杯だ

などですが、私たち指導者はなぜ、後輩の看護師を指導しなくてはいけないのでしょうか?

理由は

  • 看護学校で習う知識は広範囲に及ぶが現場ので必要な知識や技術、態度は会得できない
  • 後輩を指導、教育することでより働きやすくなる
  • 後輩を指導、教育することで患者さんへの看護の質が高まる

指導・教育しなくてはいけない理由をまずは理解して担うことが必要です。

そこで大切なのは「円滑なコミュニケーションをしよう」という考え方です。

円滑なコミュニケーションをしようと心に誓う(心がける)だけでも学習者にとっては違いを感じることができます。

例えば、「挨拶は新人からしてくるものだ」という考えがあるとします。

でもそれは必要でしょうか?

円滑なコミュニケーションを取るためなら挨拶はどちら側からしてもいいのではないでしょうか?

どうせなら教育者から話しかけるほうが相手を待つ時間を短縮できますので結果的に

円滑なコミュニケーションを取るという結果を生むのが早くなります。

当然、早く結果が出る方がいいですよね?

なので私は自分から積極的に話しをしにいきますし、挨拶も自分からします。

では話を自分からすればいいのでしょうか?

実は自分の言いたいことばかり言うのではだめなのです。

円滑なコミュニケーションとは相手が話やすくすることなのです。

おすすめは「うなずき」「あいづち」です。

私も普段は

最初は自分が話をしますが

「〇〇についてどう思う?」と聞いたあとは

「そうなんだ。それで?それで?」「あるよね。そんなこと、その後どうしたの?」など

なるべく話が続くように話を進めます。

でも時々

「〇〇をした理由を教えてほしい」などというと

「えっと…。」と相手が困ってしまうことがあります。

そんなときに指導者の方で時々いらっしゃるのが

  • 同じ質問をする
  • 発言がない事に腹を立てる
  • 相手をけなす
  • 話を途中で終わらせる

などを見かけることがあります。

こんな発言がそれにあたるのではないでしょうか?

  • 「だから!〇〇について聞いてるの!」⇔同じ質問をしている
  • 「なんで答えられないの!わけわからない!」⇔腹を立てる
  • 「信じられない!黙ったらいいと思ってるの?」⇔相手をけなす
  • 「もういいわ!時間の無駄!」⇔話を途中で終わらせる

こういった場面、見たことない人はいないのではないでしょうか?

もちろん沈黙がもたらす結果が好ましいものだとは思いません。

相手が沈黙したときの対処方法

相手が沈黙した時におすすめなのは

とりあえず5~10秒待つことです。

少し間がおいても返答ができない場合には時間をかけても答えがでにくいものですし

質問をされている側にとっても沈黙というのはつらい時間ですよね。

なので沈黙してるのではなく「沈黙をさせている」という事を念頭に置く必要があります。

  • 相手が言い出しにくいことを質問していないか
  • 相手が言い出しにくい態度をとっていないか
  • 相手が質問の意味を理解できない質問をしていないか
  • 適切な場所、タイミングで質問しているか

などを確認する必要があります。

看護師経験が浅い学習者に質問をしたり話を聞いたりする場合

情報の整理が行えていない、気持ちの整理ができていないために発言に困ることがよくあります。

しかし、相手が発言しやすいようにするために以下の事に注意する必要があります。

  • 質問の角度を変える⇔「〇〇と思ったからじゃない?」
  • 発言しやすい態度をとる⇔あいずちや表情、しぐさに気を付ける
  • 質問の意味を説明する⇔「〇〇についてどう思っているのかなと思って聞きたくて」などの質問の理由を説明する
  • 大勢の前や患者さんの前で質問をしない。または二人っきりだと圧迫感を感じると想像できる場合には完全な密室を避ける

指導者は話すことよりも聞き上手になることが大事です!

相手を知るというのは聴き上手になることが一番の近道になります。

聴き上手な指導者、教育者が行っていること

実は聴き上手な教育者が行っているノンテクニカルスキルがあります。

コミュニケーション不足を防ぐために「思い込み」を防ぐ必要があります。

学習者が話す内容を「要約する」ことも大事です。

例えば

AさんとBさんの部屋の受け持ち看護師だったんですけど、本当に忙しくてAさんの検査の準備をしていたらBさんがナースコールでトイレに行きたいって、言ってたんです。
検査の時間が迫ってたので、Bさんに「少し待っててください」って言ったんですよ。
そしたらBさんは一人で歩けないのにベッドから降りようとしちゃって。それは見ていた〇〇先輩に
怒られちゃったんです。

なんて内容を話された時。

そうなんだ、大変だったね。つまり、忙しくて判断がうまくできなかったってこと?

なんていう風に学習者が伝えたい内容を要約して合っているのかを確認することが大事です。

同じような内容でも話している人によって重要な点が違うことがあるので指導者である人は

学習者が伝えたい内容が何なのかを確認する必要があります。

意味づけを行う人を目指そう

エピソード記憶ってご存じですか?

一昨日食べたごはんのメニューってすぐに思い出せますか?

すぐにパッと思い出すことができる人はすごいです。

でも家族や恋人、仲のいい友人など特別な人と誕生日などの特別な日に食べたごはんはすぐに思い出す

ことができますよね。それはエピソードとして記憶しているからです。

実はエピソード記憶というのは子供よりも成人の方が使いやすい学習方法です。

子供のころ、使うかどうかわからない算数の公式や年号の出来事なんかを記憶しましたよね。

その能力というのは実は子供の方が優れています。

大人は「普段使うことを覚えやすい」とされています。

なので医療や看護の知識でも意味を覚えると内容を覚えやすくなります。

記憶をわざとエピソード記憶に変えてもらいます。

ひと昔、「根拠に基づいた医療」が大きく取り上げられた時期がありました。

その時期には指導者は競うように学習者に「根拠はなんですか?」「その意味は?」と質問していました。

実際私もされたこともありますし、根拠を調べたこともたくさんあります。

でも、今の時代はそれが必要なのでしょうか?

根拠を知る、知ったうえでの医療をすることは必要ですが

根拠を自分で知らなければならないのでしょうか?

学習者が普段行っていることに「これって〇〇だからこうするのよ」と意味付けをすることが必要です。

意味付けをすることで学習者のエピソード記憶として残りますよね。

またそのようにして育った学習者が同じように教えてあげる指導者になれるように見本を提示する

ことが大事だと思います。

最近はなんでもマニュアルなどがあり、見ないものがないように「見える化」をすることが

求められています。

なので根拠や意味付けについてもマニュアルなどで「見える化」をすることも大切です。

今回のまとめ

円滑なコミュニケーションについてのお話しをさせていただきました。

気を付けることで全然違うコミュニケーションになりますので是非参考にしていただきたいです。

普段から思っていますが

教育や指導はその場の事を解消することが問題なのではなくて

学習者が教える立場になったときのことを考えた指導・教育をすることが最大の目標なのではないか

と感じています。

今後も看護や医療のノンテクニカルスキルについて書いていこうと思っていますので

是非コメントなどがいただけたら幸いです。

以下は今までの看護教育に関するブログになります。

臨床での指導に必要な「教え方」のブログ一覧
発達障害をもつ新人看護師の指導ブログ一覧

前のブログ

👉臨床で指導に必要な「教え方」の技術①-看護師教育の現状-


 


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