発達障害をもつ新人看護師の指導②問題行動の考え方

発達障害をもつ新人看護師の指導②問題行動の考え方

最近増えている発達障害をもつ新人看護師の指導方法について書きます!

はじめに

私は救命救急センターで管理職をしています。勤務経験は約15年です。

当センターでは毎年、数名の新人看護師さんが入職され、その指導にあたることも多くあります。

その実体験と帝京平成大学ヒューマンケア学部看護学科教授北川 明さんが書かれた

「発達障害のある看護職・看護師支援の基本と実践」を参考に

語っていきたいと思います。

参考著書です👇

今回は前回書いたブログの第二弾となりますので

発達障害について書いた他のブログの記事も参考にしてください。

発達障害をもつ新人看護師の指導①発達障害をもつ看護師の現状

発達障害をもつ新人看護師の指導③問題行動の理解と対策

発達障害をもつ新人看護師の指導④組織的な関わり方

発達障害をもつ新人看護師の指導⑤発達障害に気づく、気づいてもらう方法

新人看護師の問題との向き合い方

発達障害の特性をもつ看護職員でなくても、たくさんの人が自分の問題と関わっていると思います。

もちろん、私たちも日常生活で問題と向き合っていますよね?

色々な失敗をすることもたくさんあります。

発達障害の特性をもつ人はそうした問題の処理方法がうまくできないことがあります。

発達障害の特性があっても私たちと同じように、いやそれ以上に自己の問題に悩んでいることがあります。

「なんで僕はこんな単純なことができないんだ」

「なんで毎日同じことを同じように怒られてしまうんだろう」とかです。

 

そこで有効な振り返りの方法として

「問題の外在化」という考え方があります。

問題の外在化

問題の外在化…人が問題なのではなく問題が問題なのだ」とい考え方です。

丁度、図のように失敗をした人から問題を別のところに運ぶイメージです。

この考え方はマイケル・ホワイトという人の考え方を参考にされています。

マイケル・ホワイト氏
「問題が人から離れた存在になった時にこそ
人々が自己のアイデンティティの窮屈な
「真実」や自らの人生においてのネガティブな確信が解放された時
人生の窮状に対処する行為において新しい選択肢が得られる」
と述べています。

ちょっとわかりにくいですよね。

要するに問題が問題なのであって、問題を起こした人が問題なのではないということです。

それを認めることで初めて問題と向き合え、新しい事に向かうことができる

という意味です。

この考え方は、普段の私たちの日常でも利用することができます。

例えば…

発達障害のある新人看護師さんが内服薬を渡そうとしていたけれど、途中で他の患者さんにナースコールで呼ばれたのでそのまま内服薬の投与を忘れてしまった。
というインシデント(問題)を起こしたとしましょう。

「どうしてナースコールの対応が終わったあと、内服薬の投薬作業に戻らなかったの?」

なんて会話の切り口になったりしませんか?

それが何度も同じような失敗をしている発達障害のある新人看護師さんに対してなら

「よく忘れるよね。何度もしてるんだから次はしないようにしてよね!」

など、ちょっとキツイ言葉をかけちゃう場面を見かけたすることもあるのではないでしょうか?

そこで問題の外在化をします。

問題なのは発達障害の特性をもっている新人看護師さんではありません。

ここでの問題は「内服の投与作業が中断された場合に、元の作業に戻れなかったこと」
なのです。

決して忘れっぽいこと、何度も同じ失敗をすることが問題の中心ではありません。

ではどのように指導したら良いのか

まずは、落ち着く場所、落ち着くタイミング、落ち着く聞き方で話を聞きます。

「どうして内服薬の投与の作業の間で作業の中断をしたのか」などです。
細かく聞きますが決して責めてはいけません。

ナースコールに出たために作業が中断した事が分かれば。

「そうなんだね。ナースコールには早く出ないといけないので正しい判断だった思うよ。」

判断が誤っていないことをフィードバックしましょう。

そのうえで

「そのあと、作業に戻れたよかったけど、自分の行動メモは見返すことはできたかな?」

すべき行動を確認できていなかったことが問題であることを指導しましょう。

発達障害の特性のある方は咄嗟にいつもと違うことが起こることがあると行動の修正は難しいことが多いです。なので確認をしてもらえればいいのですが、修正の方法を誤ること、修正ができないこともあるので単純に「メモを書く」「メモに戻る」と指導しても、次の行動が正しく「メモを見る」に至らないことも多いです。

しかし、指導の中では「メモに戻る」という行動が正しいことを認識してもらい。

実際には指導者や先輩が、何か問題がないかをフォローする必要性がでてきます。←このことを部署のスタッフが認識していないとお互いギクシャクしたり働きにくくなります。

話は長くなりましたが

問題の外在化はいろいろなシーンで使われます。

医療安全の振り返りでも問題の外在化は問題と向き合うために必要な考え方です。

「問題を起こす人が問題」なのではなく「問題が問題」なのだと捉えることで

指導する側も指導される側も個人を否定したりされることがないためにギクシャクしたりすることを防げるのではないかと思います。

みなさんもぜひ参考にしてみてください。

まとめ

今回は発達障害の特性をもつ新人看護師さんの指導方法として

「問題の外在化」について触れました。こういったコミュニケーションスキルをノンテクニカルスキルといいますが、今後もたくさん紹介したいと考えていますのでよかったら参考にしてください。

発達障害の特性のある新人看護師さんは言われたことができないことがあります。

 

 

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