発達障害をもつ新人看護師の指導⑤発達障害に気づく、気づいてもらう方法

発達障害をもつ新人看護師の指導⑤発達障害に気づく、気づいてもらう方法

はじめに

発達障害のある新人看護師の指導方法シリーズです。

今回は、職員採用の面接時から発達障害の特性のある入職希望者に気づく方法

そして、発達障害をもつ新人看護師さんに発達障害であることを気づいてもらう方法を説明します。

 

今までのブログのリンクを張っていますのでそちらも参考にしていただけたら幸いです。

👇発達障害をもつ新人看護師の指導のブログのリンク👇

発達障害をもつ新人看護師の指導①発達障害をもつ看護師の現状

発達障害をもつ新人看護師の指導②問題行動の考え方

発達障害をもつ新人看護師の指導③問題行動の理解と対策

発達障害をもつ新人看護師の指導④組織的な関わり方

 

自己紹介と参考図書

私は命救急センターで管理職をしています。勤務経験は約15年です。

当センターでは毎年、数名の新人看護師さんが入職され、その指導にあたることも多くあります。

その実体験と帝京平成大学ヒューマンケア学部看護学科教授の北川 明さんが書かれた

「発達障害のある看護職・看護師学生支援の基本と実践」を参考に

語っていきたいと思います。

 

発達障害の特性に面接時から気づくメリット

発達障害の特性をもった職員が入職することを面接時から気づくことは重要です。

面接の段階で不合格にして、入職させないためではありません。

発達障害があっても優秀な人材はいますし、組織に刺激を与えてくます。

いろいろな人がいるからこそ、いろいろな感性と風土ができます。

  • 発達障害の特性に早く気づく
  • 適応した部署に配属を検討する
  • 管理職の把握
  • 部署での対策や新人教育プログラムに特別なプログラムを組む

ことが目的です。

発達障害だから面接に不合格にするのではなく

特性を早く認知すると環境を整える準備時間を作ることができます。

この準備時間は非常に大事です。

発達障害に面接時から気づく方法

コミュニケーション障害を評価する

面接時にはコミュニケーションが行えるのかを評価します。

具体的には

  • 挨拶や受け答えの表情や言葉の選び方
  • 頭を下げるしぐさ
  • 椅子に座る際のしぐさ
  • 全体的に接遇に違和感がないかどうか

です。

発達障害をもつ方は、

  • まっすぐ立っているつもりでもどちらかに傾いている
  • 動作を区切ることができない⇒お辞儀した後に、まだ頭が上がりきっていないのに座ってしまう
  • どこかの体を揺らしてしまう

などの特性があることもありますのでよく観察することが大事です。

また、表情と動作が会っていないなどの非言語的コミュニケーションが苦手なこともあります。

一言でいうと「違和感」として感じる部分があるかどうかを評価します。

想像性の障害

面接時に

抽象的な空想が必要な質問をすることも効果的です。

例えば

「20年後にどんな看護師になっていたいですか?」などです。

達障害のある方はイメージを膨らませるのが苦手なことがあり

  • 応答までに時間がかかる
  • 質問の意図と異なる発言をする

というような特徴がみられることがあります。

社会性の障害

社会とのかかわりをどのようにもって生活しているのかを問うことも重要です。

発達障害のある方は社会とのつながりが希薄になることもあり

一人でいること多い傾向にあります。

「友人は多い方ですか?」

「趣味は何ですか?」などの質問をしてみるといいでしょう。

年齢や経験に相応した社会とのつながりを持っているかどうかを評価します。

面接での困難

面接時には入職希望者も面接の練習をしてきたり

嘘をいうこともあります。

入職希望者からすれば、相手に好印象を与えることが目的ですので

嘘は仕方ないこともあると思います。

動作の違和感や、想像性の必要な質問は練習をしても

完全に隠しきれるものではないと思われますので効果的ではあります。

発達障害に本人に気づいてもらうために

実は発達障害をもつ人の中で、自己の発達障害に気づいていない人は少なくありません。

発達障害に気づいていない人は

  • うまくいかないことが多い
  • 何回言われても毎回同じミスを繰り返してしまう
  • 状況が変わると焦ってしまう
  • 人といるとストレスを感じてしまう

などから内向的になり、一人で過ごす時間が長くなったり

自分がミスをしやすいことを人知れず悩んでいたりします。

就職したあと周りとのギャップを感じていないこともあります。

筆者の経験したこと

今年入職した新人看護師さんに発達障害の特性をもった人がいます。

何回指導しても成長が遅い
メモも取らない、取ったメモも活用できない
行動が遅い
順序や優先順位を考えて行動できない
などなどたくさんの問題があり、指導者は毎日頭を悩ませていて
時には強い口調で指導したりすることもあります。

心配になった私はその新人さんに気持ちを聞いてみることにしました。

「厳しい指導があったりもするけど毎日つらくはありませんか?」
発達障害をもつ新人さん「はい!みなさんに優しくしてもってますし、毎日楽しいです」

こんな風な会話がありました。
みなさんならどう思いますか?

きっと指導者も上記のような質問は聞いていると思います。
こんなに指導しているのに優しくしていると感じているのか…。
と指導者は自己の指導が新人さんに響いていいないのか…。
余計に疲労に思うこともあるそうです。

周りの状況と自己の状況のギャップに気づけないのも発達障害の特性です。

そのような際には直接、発達障害のある新人さんに

「周りはやりにくさを感じているみたいだけど、どう感じていますか?」
と聞いてもいいと思われます。

こんなことが周りは困ってます。
どうしたらいいでしょうか?

など、本人に周りの評価を伝えるのです。

本人へ周りの評価を伝えるメリット

本人へ周りの評価を伝えることで

周りと自己の評価の不一致に気づく事ができます。

大事なのは発達障害に気づくことではなく、自己の特性に気づいてもらうことです。

それをすることで回りへ感謝ができるようになります。

しかし、大事なのは気づかされた本人は大きな精神的なショックを受けることもあること

パワーハラスメントとして取られることもあることです。

そのようなネガティブな印象として取られないように

建設的な話し合いにすること、問題が問題であって、問題をもった個人が問題ではないこと

そして

何があってもサポートをするという気持ちを伝えることが何よりも大事です。

まとめ

発達障害の気づき方

  • コミュニケーション能力を評価する
  • 想像性を問う質問をする
  • 社会性の障害を評価する

発達障害に本人が気づく方法

  • 周りの評価との不一致を伝える
  • 発達障害に気づくことではなく自己の特性に気づくことが大事
  • 何があってもサポートすることを伝える事

をお話ししました。
よろしければ今までもブログも見てください。

👇発達障害をもつ新人看護師の指導のブログのリンク👇

発達障害をもつ新人看護師の指導①発達障害をもつ看護師の現状

発達障害をもつ新人看護師の指導②問題行動の考え方

発達障害をもつ新人看護師の指導③問題行動の理解と対策

発達障害をもつ新人看護師の指導④組織的な関わり方

 

参考図書です。とてもいい本ですので気になれる方は購入してみてください。

 

 

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