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はじめに
こんにちは
Camp Gear Tokyo です。
久しぶりに看護師としてのブログです。
看護師は経験年数がたつと後輩への指導に関わることがありますが
学術的に指導を学んでいる看護師は少なく
指導のコツがわからずに悩むことが多くあります。
私は、看護師の経験が15年あり、ICLS、JPTECやJNTECのインストラクターも経験し
管理職を行いながら、看護師の指導をしています。
知識などノンテクニカルスキルをここで共有して多くの人の役に立てればいいなと思っています。
私個人の意見にならないように参考図書として
OJTで使える!臨床での指導に必要な「教え方」のスキル13
を参考に私の経験を織り混ぜて書かせていただきます。
あくまでも参考ですので個人の経験と知識による内容となっています。
参考図書
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今回のブログは臨床での指導に必要な「教え方」の技術の第五回目になりますので
今までのブログも見ていただけたら幸いです。
👉臨床での指導に必要な「教え方」の技術①-看護師教育の現状-
👉臨床での指導に必要な「教え方」の技術②-円滑なコミュニケーション-
👉臨床での指導に必要な「教え方」の技術③-指導に必要な計画と準備-
👉臨床での指導に必要な「教え方」の技術④-指導の内容を考える-
👇私の他の看護師、ノンテクニカルスキルに関するブログ👇
👉発達障害をもつ新人看護師の指導①発達障害をもつ看護師の現状
👉発達障害をもつ新人看護師の指導⑤発達障害に気づく、気づいてもらう方法
今回は臨床での指導に必要な「教え方」の技術⑤-指導内容を組み立てる-です。
まずはジェネレーションギャップを乗り越えよ!
有名な話ではありますが看護師も世代が存在します。
その特徴を紹介しておきますね!
- ベビーブーム世代=1945~1964年ごろ生まれ
- X世代=1965~1979年ごろ生まれまで
- Y世代=1980~1995年ごろ生まれまで
- Z世代=1995年以降生まれ
各世代での特徴もあります
X世代の特徴
- 個人主義
- 帰属意識も高い
- 自己研鑽を強みとしている
- 利便性のあるものに敏感である
Y世代の特徴
- 一度に複数の仕事をこなすことができる
- Webでの学習を好む
- 間違いから学ぶという特徴がある
- 小グループの学習に慣れている
- 学習に効率性を求める
- 一方的な講義や、フィードバックのない教育を嫌う
Z世代の特徴
- 学習アプリやオンラインツールでの学習を好む
- 自主学習を好まない傾向
- 教師主体の学習形態やグループワークを得意とする
- 他者評価を気にする傾向にある
上記のような世代の区分があります。
最近の新人さん
おそらく、現在みなさんの病院や施設に配属される新人さんはZ世代にあたると思われますが最近のZ世代にも特徴はあり、少しずつ変化していると感じます。
最近の世代に対しての特徴は以下です。
- ゆったりとしている
- 他者評価に主を置いている
- 自己研鑽や能動的な学習ができない
- 数字には敏感である
- 効率を重視する
- 上下関係はあまり関係ない
- 他者にはあまり興味を示さない
- 文字よりは図や写真を好む
- パソコンは苦手
上記のような特徴を感じます。
全部悪いことのように思いますが、そのような事もありません。
ゆったりとしているからこそ、落ち着いて見えます。
他者評価に関しては敏感な特徴もありますので、チェックリストでの評価に関して辛口な評価を受けても「それは評価であって私が否定されているわけではない」と前向きにとらえられている傾向にあると感じます。
また数字には敏感ですので、客観的な評価も行える、もしくは行うようなシステムを導入しやすかったります。
上下関係がないことなどはフランクに質問をしてくれたり、意見を述べてくれます。
現場に来て一日目でカンファレンスで発言できる新人さんも最近では珍しくありません。
いい意味で他者からの評価に関しては気にしていないともとられることができます。
パソコンは意外にも苦手な新人さんが多くなってきています。
スマートフォンが普及しているからなのでしょうか、パソコンを使う機会も減るため、レポートは手書きで提出されてる方もかなり多く認めます。しかしパソコンの使い方を教えてあげると勝手に学習を進めたり、自分で調べたりするなど、飲み込みの速さは格別です。
上記のような特徴がありますので紹介させていただきました。
指導内容の確認
今までのブログで指導に関してのゴールの設定については述べさせていただきました。
学習者のレベルに合わせてゴールの設定が大切だということをお話ししました。
今回は指導の内容の確認です。
指導の内容としては当たり前ですが簡単なことからしてもらえるようにすることが大切です。
採血で例えるなら
簡単な人の採血→少し難しい人の採血→難しい人の採血
という風に進めていく必要があります。
効果的なのは事前に見せることです。
経験したことのないことを「じゃぁやってみて!」と言ってしてもらっても学習の効果は高くないばかりか、失敗を経験することで苦手意識や、学習者から失敗をさせられた。と感じられてしまうこともあります。
X世代の方はこの指導方法をとることがあります。「とりあえずやってみる」という考え方です。
しかし現代の人は「できるなら失敗はしたくない」と思っているので
失敗をしない方法や学習効果の高い方法を選ぶことが重要です。
例えば…
採血を指導するシーンだと
- 今から採血をするから見ててねとポイントなのはまずは患者さんの確認方法です名前の確認は患者本人に名前を言っていただきましょう。その後検体と合っているのかを確認しましょう。と学習者に告げる
- ブリーフィング通りに告げた内容を患者に説明を行い検体の確認を行う
- 実際にベッドサイドで確認を行って、実際の採血を行う
- ベッドサイドから帰ってきたら振り返りを行う
上記の手順のように
事前に発生することや発生しうる事態を説明してから実際に見てもらうことが効果的です。
昔は先輩からワザを盗むという行為がありました。
先輩の素振りをみて自己に置き換えてイメージする訓練ですが
現代の学習者にとってはワザや技術、スキルは「盗む」ものではありません。
必要なワザ、技術、スキルは与えられて当然のものなのです。
与えるためには、まず見せるのではなく、どういったところがポイントなのか、どういったところが学習すべきなのかを伝えることで学習の効果が高まります。
なので「まずやってみて下さい」という指導方法は失敗を経験させることになります。
この知識は先行オーガナイザーという教え方です。予習みたいなものです。
学習成果や学習者の状態に合わせた効果的な指導方法を検討する
指導者の中には学習者の状態に合わせた効果的な指導方法が分かっていない指導者、また学習者の状態が分かっていない指導者、効果的な指導方法を感じ取って選択肢を提供できない指導者が多くいます。
学生のころ、誰しもレポートの提出をされた方はいらっしゃると思います。
あのレポートは何かの役に立ちましたか?
全員が学習のスタイルが違うのにレポートは効果的だったのでしょうか?
例えばサッカーやバスケットがうまくなりたい人が参考書を読むことで各段に技術が上昇するでしょうか?
看護師は「からだ」と「あたま」と「こころ」が大切でその関係性は親和性が求められます。
つまり「からだ」を動かす「あたま」が大事で、「あたま」を動かす「こころ」が大事、体を動かすから「こころ」も動くということです。
新人看護師さんはある程度の知識はありますが、学校でまなんでいないことも現場ではたくさん遭遇します。体感的には学校で学んだことは3割にも満たないほどしか役に立っていないように感じます。
新人さんの持っている知識や経験はジグソーパズルのような物です。
そのジグソーパズルのような知識をひとつづつ組み合わせて理想の看護師像を完成させてもらわなければいけません。
そのためには
- 「からだ」にまつわることの教え方
- 「あたま」にまつわることの教え方
- 「こころ」にまつわることの教え方
と分けて考えることが重要です。
1.「からだ」にまつわることの教え方
「からだ」にまつわることの教え方のポイントはスモールステップです。
少しずつコツコツとステップアップしてもらいながら、どのような改善点があるのかを細かくフィードバックすることが大切です。それにはタイミングも重要ですので、まずはポイントを説明して行う技術を見てもらい、その後は少しずつ行ってもらいます。
ダメな時には患者さんの側を離れたところでフィードバックします。また患者に不利益が生じることは絶対さけるようにしましょう。
「あなたのせいで患者さんが危険になりました」などという指導をする方は指導者として失格です。それでは学習者も患者も自分自身も良くなりません。
2.「あたま」にまつわることの教え方
「あたま」にまつわることは
知識として知っているかどうかの「記憶」
ルールや原理を適応する、問題を解決する「思考」
効果的にどう学ぶかの「学び方」
上記の3つに分けられます。
「記憶」の学び方
記憶はどうしても維持できないものです。歴史の年号や、使うことのなくなった数学の公式がそれにあたります。新人看護師さんは現場に来たばかりで私たちの常識でも、新しい知識として認識しています。丁度「記憶」に値するものとなります。
記憶は何度呼び起こすことも重要ですが、エピソード記憶としてとらえてもらうことも重要です。
本の中から問題を出し合ったりクイズを何人かでするなど、時間はかかりますが、「クイズを出してもらった」などのエピソードとして強くのこります。
また学習者が忘れたころに同様の質問をしてもう一度アウトプットしてもらうことなども「記憶」への学び方として有効です。
「思考」の学び方
学習しながら、この知識は何に使えるかなどの思考を巡らせて区分や応用させることが大切です。
思考に関しては経験を積むことで自然に必要性にかられるので行うことができるようになります。
どちらかというと、「〇〇の知識って△△にも使えるよね」という風にきっかけを与えることの方が大事になります。
私は指導の時にすべてを覚える必要はないと説明します。
看護師の仕事には緊急度も存在します。メモなど見ている暇のないこともあります。
そういった事の「記憶」に関してはメモが無くても記憶が契機されるように指導します。
緊急度の高くない病態の理解や解剖学、看護などについてはそのことについて知れる本やホームページ、論文などなんでもいいので手に入れることが重要と説明しています。いつでも、見れる環境が必要であって「記憶」に頼る必要性を減らすことであたまの容量を空けて置くことができます。
「学び方」の学び方
学習者に任せてはいけません。現代の学習者は課題などを学校に出すことがありますが、きちんと決められた提出物として提出してるはずです。
逆にいうと、決められた方法しかしらないのです。
なので学ぶ方法は何でもいいことを教えます。YOU TUBEでもSNSでも本でも、勉強会でもなんでもいいですが、学んだことを披露してほしいと付け加えます。紙に書くことを強制してはいけません。どんな媒体でもいいですし、媒体じゃなく、語りであっても許します。
上記のような方法をとると今までの学習者さんの中では病態についてパワーポイントで綺麗にまとめてプレゼンしてくれる人、語りとしてゆっくり説明してくれる人、図で説明してくれる人、文章で説明してくれる人、教科書やホームページで説明してくれる人などバラバラでした。
それでも、指導者は知っておいてほしい情報をキーワードとして決めて置きどんな媒体であってもそのキーワードを満たすように指導することで個人に合った学習方法が取れます。
この個人にあった学習方法をとることは非常に大事で、自身の得意な学習スタイルと向き合うことになりますので、のちのち行う「自己研鑽」への大きな一歩となります。
教育の最終目標は「教えなくても自分で学ぶことができる人」を育てることです。
もっというなら「自己で学びながら効果的に教えることのできる人」に育てることです。
また成果に関しては、結果が大事です。どれだけ学習をしても、学習の効果を示されなければだめです。しかしプロセスは認めてあげることが大事です。
3.「こころ」にまつわる教え方
「こころ」って大事です。看護師は「こころ」が最も大事だといっても過言ではりません。
人の死と向き合ったり、触れたり、つらい現場にも遭遇しますし一番傍にいる存在です。
そんな私たちの土台である「こころ」が壊れると学習どころではありません。
学習者とはよく対話をすることが大事です。困っていることや悩みはないか、楽しい事などは何かなど、学習者への興味を抱かないと本音での会話はできません。
そのうえで仕事で困っていることや興味についても聞きます。そして、学習を促してその学習の成果を実際の臨床で成功体験に変えることが重要です。
参考資料
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まとめ
いかがだったでしょうか?
今回は臨床指導に必要な「教え方」の技術⑤指導内容を組み立て方について語りました。
次回は実際の教え方について語ろうと考えています。
是非参考にしていただけると幸いです。
今までのブログも見ていただけたら幸いです。
👉臨床での指導に必要な「教え方」の技術①-看護師教育の現状-
👉臨床での指導に必要な「教え方」の技術②-円滑なコミュニケーション-
👉臨床での指導に必要な「教え方」の技術③-指導に必要な計画と準備-
👉臨床での指導に必要な「教え方」の技術④-指導の内容を考える-
👇私の他の看護師、ノンテクニカルスキルに関するブログ👇