臨床で指導に必要な「教え方」の技術④-指導の内容を考える-

臨床で指導に必要な「教え方」の技術④-指導の内容を考える-

はじめに

こんにちは

Camp Gear Tokyo です。

久しぶりに看護師としてのブログです。

看護師は経験年数がたつと後輩への指導に関わることがありますが

学術的に指導を学んでいる看護師は少なく

指導のコツがわからずに悩むことが多くあります。

私は、看護師の経験が15年あり、ICLS、JPTECやJNTECのインストラクターも経験

管理職を行いながら、看護師の指導をしています。

知識などノンテクニカルスキルをここで共有して多くの人の役に立てればいいなと思っています。

今回のブログは臨床で指導に必要な「教え方」の技術の第四回目になりますので

今までのブログも見ていただけたら幸いです。

臨床での指導に必要な「教え方」の技術の第6回目は実際の教え方です。

 

私個人の意見にならないように参考図書として

政岡祐輝氏、池辺 諒氏著書の

OJTで使える!臨床での指導に必要な「教え方」のスキル13

を参考に私の経験を織り混ぜて書かせていただきます。

あくまでも参考ですので個人の経験と知識による内容となっています。

参考図書

 

学習者や学習環境の分析を行おう!

なぜ環境を整える必要があるのか?

看護師は離職が多い職業でもあります。

なぜなら看護師は就職することがとても簡単だからです。

ハッキリ言うと仕事は働く側が選ぶ環境にあるといっていいと思います。

職場が合わない、人間関係が良くない場合には1年でやめてしまう看護師がいるのはどこでも同じです。

しかし、1年目を過ごして二年目に入った看護師の補充を新しく看護師を雇う。

看護師の数を見れば「ひとり減った看護師を一人補充した」ことになりますが

それは間違いです。

人間は学んだり悩んだりする生き物です。

一年目の看護師は研修をに多くの時間を使ったり指導にも多くの時間を使います。

もちろん、時間だけではありません。

看護師を教える看護師や他のスタッフの時間も使用してますので

組織的みれば、人件費という立派なお金を投資していることになります。

 

一年間投資した看護師がやめてしまうと、また新しく看護師を雇うことになり

つまりは二年間分以上損

したことになります。

看護師の離職をする要因は

  1. 出産、育児
  2. 結婚
  3. 他施設への興味
  4. 職場の人間関係
  5. 超過勤務

と報告されています。

今後もこの順位は出産や育児に関するものよりも、他施設への興味が増えてくる可能性は大きいと思われます。

1位、2位はどちらも家庭環境の変化と言えますので、なかなか指導や教育という側面でカバーすること

は難しいです。

しかし3位の他施設への興味については

他施設への興味を抱きにくくするというと少しいじわるな表現になりますが

せっかく自身の病院に興味を抱き入職したわけですから、その興味を持ち続けてもらうことはできます。

つまり、興味を持って学び続けてることで離職を避けていくきっかけになるのです。

ちょっと背伸びをした経験をさせる

働き続けるためには安定した環境がいいというわけでもありません。

ほんの少しでも成長できていると感じる環境を提供することが大切です。

学習者の環境を

快適空間:自己の慣れたなにも心配のない簡単な状況

背伸び空間:学習者に新しい経験があり、適応や対処が求められる状況

混乱空間:対処が難しく不安や恐怖を感じる状況

の三つに分けます。

絶対に混乱空間の状況にしないことが大切です。

背伸び空間と混乱空間の境目は少し曖昧になっているようにみえることがあります。

また指導者は「もう少し欲張って経験してもらいたい」という心理が働き

混乱空間にしてしまっていることがあります。

例えば

学習者が分からないだろうと思われる質問をわざとするなども混乱空間に値すると思われます。

必要なのは、

自己にていつでも知れることを体感したり、学習することです。

分からないという不安を与えないことです。

学習者がどの状況にいるのか、どのステップなら安心してもう一歩階段を上がることができるのか

を丁寧に見極めることが大切です。

ではどのように背伸び空間を作るかですが。

学習者の学習進歩状況を把握する

学習者にチェックリストが用意されている場合にはチェックリストを用いること

チェックリストが無い場合には教育担当者へ教育の状況を確認する必要があります。

学習者が混乱空間に陥らないようにコントロールするためには小まめなコミュニケーションが大切です。

学習者とのコミュニケーションはバスケットのようなスポーツと似ています。

ブリーフィング、ハドル、デブリーフィングに分けて業務を行います。

ブリーフィング

学習者とブリーフィングを行います。

ブリーフィングは最も大切で「作戦を練ること」です。

どういった作戦で今日は学習をするのかを確認します。

看護師は多くの業務を行いますので、一個一個に作戦を立てている暇はありません。

学習者も多くの項目の作戦を立てても覚えていられないでしょうし、

作戦に時間をかけすぎて実践の時間が減るようだと混乱空間となります。

ポイントを絞って作戦をたてます。

例えば「今日は気管切開チューブからの吸引を評価します」のような細かい業務においての作戦を提示します。

作戦時に重要なのは相手に質問することで時間を取らないことです。

吸引チューブは何センチ挿入しますか?と聞くと、学習者は混乱します。

何センチ挿入するかどうかは学習者へ教えてあげればいいのです。

目的は「安全に気管切開チューブから吸引をする」ことです。

ここで異論のある方もいらっしゃると思います。

「そのような教え方をしていると『自分で学ぶ力が育たない』のではないですか?」

確かに自分で学ぶ力も大切です。現代の子たちは必要な事は教えてもらえる環境で育っています。

なので「自分で学ぶことが必要です」と伝えればわかります。

今回の「気管切開チューブに挿入する吸引チューブの挿入センチが答えられないこと」と

自己学習の必要性の問題を混合させてはいけません。

自己学習の必要性は自己学習の必要な場面で「どのような方法で学習するとよいか」を

伝えると良いでしょう。

作戦には効率性をもって学習者が安心してできるように必要な事を伝える事が大切です。

ハドル

ハドルとはタイムアウトとも表現できます。

看護師の業務は人間である患者さんが対象ですので予想外のことが起きることもあります。

なので予定外のことが起きていないのかを確認します。

予定通りに仕事が行えているのかを確認する必要があります。

もし、予定通りに仕事が行えていないなら、作戦を変更することが大切です。

その際には必ず「予定通りにできていないので、作戦を変更します」と伝えましょう。

何が行えて、何が行えないのか?混乱空間となっていないか?を考えて業務を整理します。

安全に業務を行うために惜しまず手伝ったり代行して業務を行います。

学習者が恥ずかしい思いをしないか?プライドを傷つけないか?を考える必要はありません。

患者さんが安全でないのに学習者は満足するわけはありませんから。

デブリーフィング

業務や評価する項目が終わった後にはその評価を行います。

どのようなところが良くて、どのようなところがダメだったのかを伝えます。

良いところばかりであった場合には良かったけどさらに良くするためには?と提案すること

悪いことろばかりだった場合にはせめて良かったところや、悪かったけどチャレンジできたことを褒めます。

そして次のステップを伝えます。この瞬間の背伸び空間が学習者への意欲へつながるのです。

まとめ

今回は学習者の環境と指導の内容を考えるという内容を話させていただきました。

今後も指導や教育についてのお話しをしていきたいと考えていますので

是非参考にしていただけると幸いです。

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