発達障害のある新人看護師の指導③問題行動の理解と対策

発達障害のある新人看護師の指導③問題行動の理解と対策

発達障害の特性をもつ新人看護師さん

説明したのに、全然違う行動をする
説明しているときにメモを取らない
あいさつやお礼が言えない
そんな新人看護師さんと接したことはありませんか?
それは発達障害が原因かもしれません。

最近は発達障害の特性をもつ新人看護師さんの入職が増えています。
そんな新人看護師さんの指導でお困りではありませんか?
救命救急センターで15年ほど働き、現在は管理職をしている私が経験を通して指導で注意したことと
今回も

帝京平成大学ヒューマンケア学部看護学科教授北川 明さが書かれた
「発達障害のある看護職・看護師支援の基本と実践」を参考に語っていきたいと思います。

参考図書です👇

今回は前回書いたブログの第三弾になります。
もしもお時間があられましたら

発達障害について書いた他のブログの記事も参考にしてください。

発達障害をもつ新人看護師の指導①発達障害をもつ看護師の現状

発達障害をもつ新人看護師の指導②問題行動の考え方

発達障害をもつ新人看護師の指導④組織的な関わり方

発達障害をもつ新人看護師の指導⑤発達障害に気づく、気づいてもらう方法

発達障害をもつ新人看護師さんの問題行動の理解

新しい生活での発達障害をもつ新人看護師の苦労

発達障害をもつ新人看護師さんは

  • 環境に慣れるまでに時間がかかる

    発達障害のある人は空間認知の障害があることがある
    ため、施設の構造の理解、
    勤務経路など多くの刺激を受けるため
    物理環境に馴染みにくい

  • 臨機応変な対応が難しい

    想定外のことが起こると驚いて行動できないことがあります。
    就職して間もない時には新しい体験の連続です。
    看護師の多くは毎日同じことを繰り返すことが少ないため
    仕事に馴染むことが困難で、時折衝動的な行動したりしてしまうことがあります。

  • 曖昧な指示の了解が難しい

    職場には暗黙の了解ってありますよね?
    申し送り中は静かにする。などですが、
    このような単純なこと以外にも明記されていない暗黙の了解が多く存在します。
    暗黙の了解は発達障害のある人には受け入れにくく曖昧な表現として受け取ってしまいます。
    また物事の一端を聞いただけですべてのことを察することはうまくはいかない事が多いです。

  • 対人コミュニケーションが苦手

    上記のようなことを行っているため
    看護師の役割の中で社会人としての役割を果たすのはかなり困難です。

以上のような発達障害の特徴と理由があり、

就職して間もない頃には新人看護師本人も周りの職員もかなりの苦労をされています。

では職場でよくある出来事を述べて整理しましょう。

発達障害のある新人看護師さんが起こしやすい問題行動と対策

  • 人の話を聞かない

    聞かないというより「聞けない」のです。
    注意がほかに向いてる事があります。
    静かな場所や刺激の少ない場所へ移動して話をしましょう!

  • 挨拶や返事ができない

    緊張していてできないことがあります。
    何回経験しても初めての事と同じように緊張しますので
    指導者や周りから挨拶をしてもらったり
    返事を促しましょう。

  • 「わかった」というのにできない

    新人看護師さんは説明されたことをして「わかった」と言わなければならないと思ったのかもしれません。
    逆に「どんな風に理解したか、説明してください」と新人看護師にアウトプットをしてもらい確認して
    から行動してもらうと、理解度のずれが改善されますが、指導者が求める完璧な行動は難しいのが現状です。

  • 身だしなみが悪い

    見だしなみまでは気が回らないことも多く
    理由を説明すると理解してもらえることも多いです。
    「清潔感を患者さんに持っていただいて、気持ちよく療養生活が送れるように
    シャツはズボンに入れましょう」など説明が必要です。

  • 遅刻や休みがち

    体調も崩しやすいです。環境の変化などに気づくのも苦手なためかと考えらます。
    仮病などは疑わずに良くなったら仕事をしてもらってください。
    また、連日になる場合には精神的に苦痛を感じているのかもしれません。

  • 提出物の遅れ

    予定を合わせたりすることが苦手になりますので
    細かくゴールを設定し提出物が間に合うよう
    指導しましょう。

  • 質問に答えられない

    質問の意図や相手が答えてほしい答えを述べることは発達障害のある方には困難なことがあります
    プレッシャーは感じることあるため、3秒~5秒ほどフリーズした状態になるときには
    質問のレベルを下げる、表現を変えてみる、角度や順序を変えて質問する、誘導する、例え話をする
    などのテクニックが必要です。

  • メモをとらない

    メモをとらないのではないことも多いです。
    何をメモしたらいいのかわからないほどポイントがつかめない
    話に集中してしまい、メモを忘れるなどの理由がありあります。

たくさんあげました。新人看護師を指導していれば一つはあてはまることもあるのではないかと思います。

いずれにしても大事なのは

職場全体でみまもる雰囲気をつくること

です。

せっかく新しい仲間として来てもらったのですから、楽しく働きたいですよね

なので新人看護師の特性をわかったうえで大きなミスがないように見守ることが重要です。

あとは部署を超えたスタッフに迷惑がかかることもあるため、

部署間で管理者同士は情報共有をしておくことが大切になります。

個人的な体験

だいたい一年もすれば本人の特性に周りが対応できるようになります。

また、新人看護師さんも就職当時は環境の変化もあり注意力が散漫になることも多くありますが

挨拶や返事は少しずつできるようになっていきます。

そして、毎年新人看護師が入職する職場においては、新たな新人看護師に周りも注目するので

少しずつ目立たなくなります。

しかし、発達障害の特性は変わらないので

少しずつ修正できる箇所は修正するように導かないとリーダー業務を行うようになる時に

他部署へ影響を及ぼすことがあります。

まとめ

今回は発達障害のある新人看護師さんの問題行動とその関わり方を説明しました。

発達障害の特性から表される行動には理由があります。

理由を理解すると周りも本人も楽になります。

これからも、いろいろな情報を発信していきますので

よろしくお願いします。

参考図書

 

 

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