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はじめに
こんにちは
Camp Gear Tokyo です。
久しぶりに看護師としてのブログです。
看護師は経験年数が経つと後輩への指導に関わることがありますが
学術的に指導を学んでいる看護師は少なく
指導のコツがわからずに悩むことが多くあります。
私は、看護師の経験が15年あり、ICLS、JPTECやJNTECのインストラクターも経験し
管理職を行いながら、看護師の指導をしています。
知識などノンテクニカルスキルをここで共有して多くの人の役に立てればいいなと思っています。
私個人の意見にならないように参考図書として
OJTで使える!臨床での指導に必要な「教え方」のスキル13
を参考に私の経験を織り混ぜて書かせていただきます。
あくまでも参考ですので個人の経験と知識による内容となっています。
参考図書
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今回のブログは臨床での指導に必要な「教え方」の技術の第6回目になりますので
今までのブログも見ていただけたら幸いです。
臨床での指導に必要な「教え方」の技術の第6回目は実際の教え方です。
今までは学習者の特徴やコミュニケーションの方法や、指導のための計画と実施、目標設定などたくさんの内容をおとどけしてきましたが、今回はやっと「教え方」についてです。
しかし教え方は一回のブログの記事にすると量も多くなりますので2回に分けたいと考えています。
教えることとは?
教えることとは何でしょうか?
教えること=ティーチングでしょうか?
教えることのとらえ方にもたくさんあります。
ここではコーチングとティーチングの違いを説明します。
コーチングとは
「相手の能力を最大限に引き出し、自発的な行動を促進するコミュニケーション技術」
のことです。
ティーチングとは
「自己の能力にて、相手の行動を促進するコミュニケーション技術」
と解釈できます。
つまり、コーチングは相手の能力を引き出すことでティーチングは相手に能力を与えることです。
実際の指導にはコーチングとティーチングをうまく組み合わせてバランスをとることが重要です。
ティーチングが得意な教育者はたくさんいるように思いますが、実はコーチングがとても大切なことです。
なぜコーチングが大切なのか?
例えば、ベッド上安静の患者さんの洗髪をしたいという場面で、学習者に洗髪の方法をいくつか提示するのはティーチングにあたります。
この時に「患者さんの洗髪をする方法はどのような方法がありますか?」と問いかけると学習者が今まで経験した方法や思いついた方法を述べてくれることがあります。
そのような能動的に出た方法や解決方法は学習者の自信につながるともに、心理的安全性をもたらします。「こんな風に自由に発言してもいいんだ」という風にとらえると、看護も楽しくなりますし、自発的な行動ができる看護師になります。
しかし、指導の中では「オープンに聴いているのに全然学習者からの意見がでない」と悩んでいる教育者もいます。
いくつかのポイントがありますので提示させていただきます。
- 先入観を持たない、口を挟まない
- 声のトーンや言葉遣い、リズム、動きを合わせる
- 頷きやオウム返しを使う
- 素直に「どんな事を発言してもいいんだよ」「あなたの思いを聞かせてほしい」などを伝える
- 過去を否定しない
- 考えをまとめる
上記のようにコーチングにはいくつかのポイントがあります。
この中でも特に大事なのは「素直にあなたの意見を聞かせてほしい」と学習者に安心して発言をしてもらうことです。安心して発言をすることは能力を引き出すこととなります。
そして本当に学習者が困って答えが出ない場合には無理をしないことです。
例えば
「どんな方法で洗髪をしたいですか?」と学習者に聞いたときに
「…………。」と反応がない時には
「洗髪にどんな効果を求めていますか?」などと質問の角度を変えたり、方法ではなく効果の話をすることで方法を選択する目的とします。
実際の指導の現場では上記のようなことを学習者の反応を見ながら一瞬で判断しなくてはいけないのでコミュニケーション能力が必要になる部分であり、難しいポイントだと思います。
学習の主体は学習者であり、学習者の考えを引き延ばすことが大切です。
またそのためには考えを「聞く」のではなく「訊く」のだと本には書いていますが
私は「訊かせてもらう」という風に感じています。
訊かせてもらわなければ効果的な学習につながらないからです。
訊かせてもらうには時間がかかります。
指導を行うときには大事なことがあります。
学習者の失敗が患者に影響しそうな場面では指導者がフォローすることです。
これは絶対に行ってほしい内容です!!患者さんは学習のための犠牲ではありません。
指導者は患者の安全を担保する必要があります。指導の現場では時々患者の安全よりも指導を優先している指導者が居ますが患者さんの安全が一番です。必ず患者さんが不利益を被らないようにフォローすることが必要です。失敗から学ぶことは大切です。しかし、失敗が発生した場合には「失敗から学ぶ」ことが大切であるのですが、わざわざ失敗をして学ばせないことが大切です!
学習者の立場になってみるとわかりますが「危ないならきちんと、危なくなる前に教えて欲しい」「患者さんを危険な目に合わせたくない」そういった思いは学習者はみんな持ち合わせていると思われます。
フィードバックのポイント
フィードバックは学習者が学習目標とのずれを認識するためにかかせない指導です。
しかしフィードバックの方法とポイントが理解できていない指導者は多くいらっしゃいます。
- タイムリーに行う
- 患者さん、ご家族にわかるところでは行わない
- 知識のアンカーをする
- ダメなことは簡潔に伝えて、改善のポイントを説明する
- マニュアルやガイドライン、本などを使用する
- 相手の反応を感じる
- 長いと思わせる時間を使わない
フィードバックのタイミング
フィードバックのタイミングは即時を基本としましょう。
できるだけ早いタイミングで行うことを基本として考えて下さい。
あとから「昨日の吸引のことなんだけどね?」と説明されても学習者は覚えていない事もあります。
後から指導されると、学習者の記憶には無いこともあるので「事実とは違うことで指導された」と感じてしまうこともありますので絶対に避けたいポイントです。
看護師の指導はベッドサイドケア中の場面で遭遇することも多く「即時」を守ることができないことがあります。
必ず患者さんや家族さんの目の届く範囲での指導は避けましょう。
不信感にもつながります、また、指導される側の看護師さんにも恥ずかしいと感じてしまう可能性があります。
そういった矛盾を解決するため、私はベッドサイドでの指導時に気になった場合には
「今の場面を覚えて置いてくださいね。あとで一緒に考えましょう」という風に知識のアンカーを行います。
そういったアンカーをすることでその後の処置などを経験したあとでもフィードバックが行いやすくなります。またフィードバックを伝える際にも「さっきの〇〇の場面ですが」と切り出しやすくなります。アンカーのデメリットは学習者が不安に思うことがあるので「忘れてほしくないために伝えただけので不安に思う必要はないですよ」と伝えてあげると学習者も不安に思わないで、その後の作業に取り組めると思われます。
フィードバックでの伝え方
指導はポジティブなことから?ネガティブなことから?
そんな議論が数年前はありました。
臨床で指導をおこなって思うことは、どちらでもいい。
そんなことより相手のことを考えた指導ができれば問題ない。と思います。
フィードバックの目的は情報通知と立て直しです。
たとえ耳が痛い事であっても、学習者が現状よりもよくなることで大切なことであれば伝える必要があります。
伝え方は色々とありますが、相手がマイナスなイメージになるような伝え方はしないことが大切です。
また、最近の世代の子は「弱い」と思われている方がいますが、違います。
むしろ、昔の世代より「大切なことはハッキリと教えて欲しい」と考えている学習者が増えていると感じています。
良くなかったとところは包み隠さず、「ここが良くなかったから、こうしたらいいよ」と素直に真っすぐ伝えると良いと思いますし、また良いと思った事もフィードバックも組み込むとより効果的です。
できるだけ、マニュアルやガイドラインなどを参考資料として提示しながら指導するのが効果的です。
特にマニュアルを使用することは大事です。
マニュアルを使用することの効果
- 統一した指導ができる
- 学習者が振り返ることができるツールとして活用できる
- マニュアルを見直す機会になる
上記があげられ、マニュアルを整備されていない場合にはマニュアルを整備するきっかけとなります。
フィードバックで一番大事なこと
一番大事なことは、相手の反応を感じることです。
必ずフィードバックでは相手の反応を感じてください。見るのではなく感じるのです。
言葉の雰囲気や表情をとらえることが大切です。
返事が遅い、無い時には納得ができていなかったり、理解ができていなかったりすることがあります。
耽々と感情の起伏がなく話が進む場合にも、納得ができないなどのサインである可能性もあります。
表情や雰囲気を感じながら、関わることが大切であり、納得させよう!と思わなくても大丈夫です。
不安なことや納得できなくて他の意見がある場合には学習者の意見を述べてもらいましょう。
学習者もプロの看護師です。もちろん資格を取得して間もないかもしれませんが、資格があればプロです。学習者の意見を大切に思って指導者は意見に耳を傾けると信頼関係も深くなることができると思います。
学習者の能力を引き出すコーチングの気持ちを忘れないで関わる必要があります。
意見を大切にするフィードバック方法は転職でこられた看護師への指導にも効果的です。
時間の管理
フィードバックをする際には長々とした指導にならないように指導することが必要です。
多くの場合には30分以上のフィードバックは長いと考えましょう。
もちろん学習者が望めば大丈夫ですが、指導者も疲弊することがありますので30分以上の指導は控えましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか?
今回は臨床での指導に必要な「教え方」の技術6回目-実際の教え方-について説明しました。
この教え方は大事な部分になりますので2回に分けて説明したいと思います。
今回は
- コーチングとティーチングの違い
- フィードバックのポイント
について説明させていただきました。
これからも看護師の指導に関して情報をブログで説明したいと思っていますので参考していただけたら幸いです。
私のできることをコツコツと発信して誰かのためになればいいなと思っています。
以下は今までの看護教育に関するブログになります。
👉臨床での指導に必要な「教え方」の技術①-看護師教育の現状-
👉臨床での指導に必要な「教え方」の技術②-円滑なコミュニケーション-
👉臨床での指導に必要な「教え方」の技術③-指導に必要な計画と準備-
参考資料
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